「カーコーティング」とは
コーティングとワックスの違い
カー用品店やガソリンスタンド、ディーラーなどクルマ関連のお店でよく見かける「カーコーティング」ですが、カーコーティングと聞くと、車の塗装のつやを出すワックスがけと同じような施工をイメージする方もいるのではないでしょうか。しかし、カーコーティングとワックスはまったくの別物です。
まずは、コーティングとワックスの違いについて確認しておきましょう。
ワックスの主成分は油と蝋(ロウ)で、塗装面に塗ることで深いつやを出すことができます。種類も豊富で、気軽に選べて施工も手軽にできる点が魅力です。
しかし、ワックスによる被膜は半液体で不安定な状態のため、雨や洗車によって簡単に油脂分が流れ出てしまうというデメリットがあります。また、油脂分が流れて蝋が残ると、角質化して水垢の原因にもなります。耐熱性も低いため蒸発しやすく、持続期間も1ヵ月程度と短めです。
一方、カーコーティングは、車の塗装の上に油脂や樹脂やガラスなどの成分でコート、つまり薄膜を付着させておおうことです。コーティングを施す過程で、車のボディが変色したり、塗装が傷ついたりすることはありません。塗装されたそのままの状態では、傷や汚れが付着しやすい上に、紫外線によって塗装が劣化する恐れがあります。カーコーティングで作られる被膜によって外部からのダメージを防ぎ、車の塗装をキレイな状態に保つことができます。種類にもよりますが、いずれも持続期間は約6ヵ月から1年、長くて5年(保管環境による)程度と、ワックスよりも圧倒的に長持ちする点が魅力といえるでしょう。
ボディコーティングの種類
コーティングの材質によっていくつかに分類できます。ここでは3種類に分けてその特徴を見ていきましょう。
ガラス系コーティング
ガラスやガラス繊維を含んだ素材により硬い被膜を作り、化学物質などによる酸化や傷から長期間車を保護します。つやや輝き、効果の持続力はほかのコーティングと比べても非常に優れています。汚れも簡単な水洗いで落ちやすくなるでしょう。
コーティングです。「ガラス系」とひと口に言ってもさまざまなタイプがあり、ガラス繊維の含有量により被膜効果や耐久性が大きく異なります。樹脂系コーティング剤の中に含まれるガラス成分がごく微量でも「ガラス系」と称されるケースもあるため、コーティング剤を選ぶ際は含有量をしっかりと確認が必要です。
ポリマー系コーティング
ポリマーとは、石油由来または化学合成による化合物のことで、家庭用のケミカル用品はもちろん、車用ワックスの原料となることも多い素材です。ほかのコーティングよりも低価格で、施行時間も短く済む点が特徴です。ただし、ポリマー系はワックスに比べればある程度効果が持続するとは言っても、劣化しやすいことは否定できません。また、複数の成分が混じった有機物を素材とすることから、熱や紫外線によりすぐに酸化してしまうというデメリットもあるため、定期的な被膜のメンテナンスは必須となります。
フッ素系コーティング
ポリマー系コーティングのうち、フッ素を原料に含むコーティングがフッ素系コーティングと呼ばれます。定着する際に分子が結合する化学反応によって、車体の塗装の上に強い被膜が作られます。その被膜がススや油などの汚れ、傷から塗装を守る効果が期待できます。細かい傷を埋めて光沢を出すことができるので、ピカピカの車体になるのが魅力です。汚れが付着しにくくなるため、簡単な洗車だけで十分なメンテナンスになります。一般的なポリマー系コーティングよりも費用相場が多少高めですが、そのぶん効果の持続期間も長くなります。ガラス系とポリマー系のあいだに位置するコーティングといったイメージです。
ボディ以外のコーティング
ボディ以外のパーツへのコーティングもあります。
ウィンドウガラスコーティング
フロントガラスへの施工により撥水効果などが向上するとともに、シミの固着を防ぎ、雨天走行時の良好な視界確保が可能になります。
ヘッドライトコーティング
ポリカーボネート製が一般的であるヘッドライトカバーに施工して、飛び石による損傷や紫外線による黄ばみを防ぎます。見た目の印象アップ効果も期待できます。
ホイールコーティング
ブレーキダストや鉄粉による傷つき・汚れなどのダメージを受けやすいホイールに施工することで、ボディ同様に被膜による保護効果が得られます。
ボディコーティングの流れ
ボディコーティングは正しい手順で行わないと、長期にわたる高い保護効果は期待できません。ここでは、一般的な流れを解説していきます。
1.洗車
まずは手洗いで洗車し、ボディの表面のほこりや汚れを落とします。基本的にはカーシャンプーを使いますが、台所用洗剤を希釈したものでも問題ありません。車を水でよく濡らし、洗車用のスポンジでしっかりと泡立てて洗います。
2.鉄粉除去
コーティング前には、粘土と鉄粉除去スプレーを使って鉄紛除去を行います。
車のボディには、道路の鋼材や鉄道レール、ブレーキダストなどのさまざまな要因によって鉄紛が付着します。塗装面に付着した鉄紛は、日光や雨などでこびりついてしまいます。放置すると錆が発生してしまうこともあるため、この段階できちんと除去しておくことが大切です。
3.下地処理
ポリッシングマシンで小さな傷やシミなどを除去し、ボディの表面を滑らかに仕上げます。下地処理をしすぎると塗装面まで削れてしまうため、プロの腕の見せ所です。この下地処理の出来が、コーティングの仕上がりにも大きな影響を与えます。下地処理の後に微小なコンパウンドを使ってボディを研磨し、細かい傷を除去する作業も行います。
4.脱脂処理
脱脂処理では、下地処理で除去しきれなかった塗装面の油脂分を取り去っていきます。油膜がついた状態でコーティングを行うと、塗装面とコート剤のあいだに残った油膜がコーティング剤の定着を邪魔してしまうためです。
5.コーティング剤の塗布
最後に、コーティング剤を塗布していきます。コーティング剤の塗布は密閉した屋内で行われます。これは、ほこりや雨による水分などがコーティング面に付着するのを防ぐためです。専用のスポンジで丁寧にムラなく塗布したら、乾燥させて、コーティング剤が表面硬化するのを待ちます。
コーティングの種類や温湿度などによっても異なりますが、2時間〜6時間程度で施工が完了します。
ボディコーティングした後のメンテナンスについて
ボディコーティングが済んだ車は、どのようにメンテナンスしていけばよいのでしょうか。ここでは、洗車が必要になる場合と洗車する際に気を付けることについて解説していきます。
洗車が必要な場合
ボディコーティング済の車は、施工をしていない車に比べて汚れが付きにくくなっています。また、付いた汚れに関しても、早めに水で流したり、拭き取ったりすることで簡単に落とせます。しかし、ボディコーティングすれば洗車が不要となるわけではありません。跳ね上げられた泥くらいならば落とすのは容易ですが、虫の死骸などは、時間が経つと取り除くのが難しくなることもあります。なかでも、厄介なのは鳥の糞です。強い酸性を持つ白い部分が付着すると、被膜が酸化し、徐々に劣化していきます。付着を発見したら、洗剤を使って速やかに除去することが大切です。
洗車する際に気を付けること
ボディコーティングしてある車は、基本的に水洗いでOKです。しかし、洗い方を間違えると、汚れがひどくなってしまったり、最悪被膜を剥がしてしまったりする恐れも出てきます。ここでは、洗車する際に気を付けるべき2つのポイントをご紹介します。
炎天下での洗車を避け、しっかりと拭き上げる
日差しが強いと、ボディに付着した水分が早く蒸発する一方、含まれるミネラルやカルシウムなどがコーティング面に残されます。放置して白化したこれらの成分は落としにくくなりがちです。早朝・夕方などの日差しが強くない時間帯を選んで洗車を行い、水分が残らないよう入念に拭き上げてください。
洗車機はなるべく使わない
ボディに汚れや埃が付いたまま車を洗車機にかけると、高速回転するブラシによりコーティング面が傷付けられる恐れがあります。1度付いた傷は簡単に消えないため、汚れが固着しないうちの手洗いをおすすめします。
まとめ
走行中に受ける飛び石や鉄粉、厄介な雨染みや花粉、そして紫外線により、車のボディは輝きを失い劣化していきます。ボディコーティングはこうしたダメージを塗装面への被膜形成により吸収し、車を保護するものです。
そして洗車のみで艶を失わず、汚れが付きにくい状態を長く保つことを可能にします。車のボディコーティングに関して何かお困りのことがございましたら、当店までご相談ください。